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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(オ)204号 判決 1951年2月20日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人代理人土井美弘の上告理由は末尾添附別紙記載のとおりであり、これに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。

論旨二、記載の様な事情があつたとしても、その為め必ずしも被上告人が悪意の取得者であつたと認めなければならないものではない。のみならず悪意の取得者なりや否やは取得当時に悪意であつたか否かによつてきまるのであつて、その後不渡になつたとき悪意になつてもそれによつて悪意の取得者となるものではない。それ故「直接前者たる藤井に請求すれば本件小切手の性質がわかつた筈である」との論旨の如きは初めから問題にならない。

論旨三、記載の様な事実だけでは再審の理由となるものでもないし、当審に新に証拠を提出して事実の審理を求め得るものでもないこというを待たない。論旨は採用に値しない。

よつて上告を理由なしとし民訴四〇一条、九五条、八九条に従つて主文の如く判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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